Skip content

EU域外企業に対するCSRD報告要件の現状

ESRS-40a

Maresa Kunau Consultant at LRQA

2026年7月末、EFRAG(欧州財務報告諮問グループ)は、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のもとで特定のEU域外企業グループに適用される報告基準について、さらなる詳細を公表しました。

米国、英国、日本と並び、スイスは対象となる企業の割合が特に高い国の一つです。

オムニバス指令により対象範囲は縮小 ― それでも対象となる企業とは?

改定された基準値により、対象となる企業は世界全体で約1,200社に減少します。2028会計年度について、以下の条件を満たすEU域外企業グループが対象となります。

  1. EU域外の親会社グループによるEU域内での純売上高が、2年連続で4億5,000万ユーロを超えていること、かつ
  2. EU域内に純売上高2億ユーロ超の子会社または支店を有していること

要件と報告の選択肢

EU企業向けのSimplified ESRS(簡素化されたESRS)については、EFRAGが2026年7月初旬に委任法令案を公表しています。一方、ESRS-40aの枠組みでは、人々および環境に対する実際の、または潜在的な影響(「インパクト・マテリアリティ」)のみに焦点を当てており、財務上のリスク、機会、依存関係について報告する義務はありません。

ただし、提案されている枠組みは、Simplified ESRSと同様に12の基準で構成されています。2つの全般的基準である「ESRS-40a 1 – 一般要求事項」と「ESRS-40a 2 – 一般開示事項」に加え、ESRS-40aでは、以下の10のトピック別基準について、ガバナンス、戦略、施策、主要業績評価指標(KPI)、目標などに関する幅広い情報開示が求められます。

環境

社会 企業統治

E1 – 気候変動

S1 – 自社の従業員

G1 – 企業方針

E2 – 環境汚染

S2 – バリューチェーンにおける労働者

 

E3 – 水・海洋資源

S3 – 影響を受けるコミュニティ

 

E4 – 生物多様性と生態系

S4 – 消費者およびエンドユーザー

 

E5 – 資源利用とサーキュラーエコノミー

   

現在の草案では、報告範囲について次の3つの選択肢が引き続き検討されています。

  • 選択肢1: 重要性のあるサステナビリティ関連のすべての影響について、グローバルに報告する。
  • 選択肢2: ハイブリッド方式を採用し、気候関連の影響についてはグローバルに報告する一方、その他のトピック(社会および企業統治)については、EUに関連する影響に限定することを認める。
  • 選択肢3: 完全版ESRSを任意で適用する。EU域内で大規模に事業を展開する企業グループにとっては、一部のEU子会社が免除規定の適用を受けられる可能性があるため、この選択肢が有用となる場合があります。

EFRAGによるESRS-40aの提案でもう一つの重要な論点となっているのが、IFRSサステナビリティ開示基準(IFRS SDS)との相互運用性です。ESRS-40aの対象となる企業の多くは、すでにIFRS S1およびS2に基づく報告を行っています。そのためEFRAGでは、共通する開示内容の整合を図り、既存のIFRS報告を参照できるようにすることで、重複報告を回避する方法を検討しています。

ただし、両報告基準ではマテリアリティに対する考え方が異なるため、完全な調和は見込まれていません。

今から準備を ― コンサルテーション期間を活用する

現時点で公表されている内容はすべて草案段階であり、最終基準はまだ発行されていません。

2026年7月23日、EFRAGは、以前はN-ESRS、その後ESRS-TCと呼ばれていた報告基準について、公開コンサルテーションを開始しました。草案の公表後、基準の名称は再び変更され、現在はEU会計指令第40a条に合わせてESRS-40aと呼ばれています。同条では、EU域内およびEU域外の企業グループによるサステナビリティ報告などについて規定しています。

ステークホルダーは2026年10月31日まで意見を提出することができ、企業にとっても、今後の要件に向けて早期に準備を進める機会となります。

公開コンサルテーション終了後、欧州委員会による技術的な協議は2027年1月に完了する予定で、2027年半ばの最終基準採択が見込まれています。このスケジュールどおりに進んだ場合、対象企業は2028会計年度について初めて報告を行うことになります。

自社がESRS-40aの対象となるか、また、既存のIFRSやESRSに関するプロセスをどのように活用できるか、今から確認しておくことが重要です。

LRQAでは、対象範囲の確認からESRS-40a対応ロードマップの策定まで、お客様を支援します。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

 

最新ニュース、インサイト、今後のイベント