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LRQA ポッドキャスト 1 : ISO 45001発行からの4年間

The Future in Focus

労働安全衛生のマネジメントシステムであるISO45001についての新たな観点とエキスパートの声をポッドキャストにて,ぜひお聴きください。(英語)

ISO 45001発行からの4年間

2022年2月23日(水) 09:00  27分

労働安全衛生マネジメントのISO技術委員会の議長である、LRQAのマーティン・コッタムが、労働安全衛生のマネジメントシステムであるISO45001の発行から4年を振り返り、ISO45000シリーズの将来について洞察をPodcast(音声)にて語っています。音声は英語になりますが、下記にて日本語訳を記載しておりますので、こちらの方も是非ご参照ください。

 

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音声字幕:ISO 45001発行からの4年間

LRQAではポッドキャストからエキスパートの声を直接お届けしております(英語)。今回は、LRQAの技術・品質責任者であるマーティン・コッタムからISO 45001に関する現状をお伝えします。

ISO 45001が発行されてから4年が過ぎましたが、その間に職場環境や働き方において大きな変化がありました。ISO 45001は市場に対してどのような効果をもたらしましたか?

私の感覚では、ISO 45001は非常に好意的に受け止められており、多くの分野でOHSAS 18001からの次のステップとして認識されています。 特にリーダーシップ、労働者の協議と参加、そして具体的な組織の文脈に関する要件である、各組織の特定の状況を実際に反映するようにマネジメントシステムを調整する必要があることが強調できていると思います。


ISO 45001は、Annex SL(附属書SL)による共通テキスト文書の採用を受けて、他のマネジメントシステム規格との整合性からも恩恵を受けています。ISO 9001(品質マネジメント)、ISO 14001(環境マネジメント)またAnnex SLが採用されている他規格と同様の上位構造(ハイレベルストラクチャー)がISO 45001にも採用されています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的なパンデミックは、職場環境や働き方において大きな影響を与えました。ISO 45001は、PDCAサイクルに基づくフレームワークと、リーダーシップ、労働者の協議と参加を強調し、組織はこれらの必要な変更を効果的に実施し、その変更の影響を評価して、必要に応じて改善することが可能になっています。

PDCAのループは、パンデミックのような非常にダイナミックな状況下において非常に重要であり、時には速いスピードで効果が生まれます。これは、効果的なマネジメントシステムはコンプライアンスではなく、組織に適応し改善を推進する能力を提供するということであり、それを通じて組織の回復力とサステナビリティに貢献することだと改めて感じました。

パンデミックの状況下では、労働者の心理的健康と安全の問題が特に注目される機会です。それもあって2021年、職場の心理社会的におけるリスクマネジメントのガイダンスであるISO 45003の発行に至りました。これは、組織がISO 45001により必要なものを理解するのに役立つだけでなく、労働者の心理的健康と安全の問題に取り組むためにガイダンスが強く必要とされた領域だと思います。

労働者の心理的健康と安全の問題は、重要な問題と扱われないことも多く、また反応的な対処に留まる傾向にあります。 組織が労働者の心理的健康と安全に積極的に取り組むのであれば、それは組織に大きな違いをもたらすと思っています。物理的な安全と同じように、危険が発生する前に危険を排除し、気概が発生した場合もリスクを最小限に抑えることを目指すことが重要です。

 

リモートワークについてお伺いしたいのですが、ISO 45001はそのような働き方に対してどの程度対応していますか?

ISO 45001では、組織が職場を管理する程度が異なる可能性があることを認識されており、労働者が就業する場所、または仕事の目的で訪問する必要がある場所として定義されています。リモートワークは、パンデミック発生よりも前のISO 45001が最初に策定された2018年に、既に一部の労働者の特徴であったため、リモートワークに関しても先程の定義でカバーされています。

しかしながら、パンデミック発生後のリモートワークの量は増加し、また各国の規制(ロックダウン等)が原因となり短期間で普及し、また今日では多くの人にとって唯一の働き方になっているという事実もあります。

もちろん、リモートワークの方だけが対象ではなく、家族と離れて過ごす時間が長くなる方も考慮されており、特に皆さんがよく耳にする船員の方またメディア産業の方が考慮されている形もあります。

つまりISO 45001には、組織がリモートワークに対処するための要件が含まれており、当然のことながら、これらの要件を満たすことで課題が発生することがあります。ISO 45001はそういった事を対処・実装するフレームワークを提供し、ISO 45003もまた労働者の心理的健康と安全の問題という点に関して有用なガイダンスを提供します。組織の管理下にまだ置かれていない職場について考慮すると、ISO 45001で非常に強く強調されている労働者の協議と参加の要素に当てはまり、リモートワークの課題に対処しようとするときでも成功をもたらす重要な要素だと考えています。


現在、改善が必要だと感じている部分や、近々必要になると思われる部分はありますか?

一つあります。私たちは、ISOが昨年実施したあるアンケート調査の結果を見て、非常に危惧しています。本調査は、いくつかのISO規格におけるジェンダーの視点に特化したもので、ISO 45001も対象範囲として選ばれました。この調査結果は、多様性と包摂性のあらゆる側面に広く適用できるものです。しかし実際の調査結果は、ISO 45001の技術委員会にとっては、あまり好ましいものではありませんでした。というのも調査結果は、既に技術委員会で頻繁に議論され、対応済みの問題という認識があったからです。

この調査で浮き彫りになったのは、私たちが包摂性に取り組むために使っている言葉は、多くの場合ごく当たり障りのない一般的なものであり、「すべての労働者のニーズに取り組む」といったフレーズが見られるということです。ISO 45001の初期のドラフト案では、私たちは具体的な例を示しており、高齢者、妊婦、若年労働者、障害者のニーズを考慮するといった、より具体的な言及がなされています。しかし、その後策定された文書では、規格をもう少しコンパクトにするためという目的もあり、より一般的な「すべての労働者のニーズを考慮する」という表現に置き換えられることが多くなっています。

調査の結果を見ると、ユーザーは自分の経験以上のことを常に考慮しているわけでなく、規格に明示されていないことはしばしば見落とされる傾向にあり、また時には実例が決定的なリストとして扱われることがあるということがわかりました。その結果、当たり障りのない一般的なフレーズを使うと、多くの組織がポイントを見失う、またかなり狭く解釈してしまう傾向になってしまい、実際にはすべての労働者のニーズに対応できていないということになります。

もちろん、ガイダンスがこれらの一般的なフレーズをどのように解釈するかを強調し、ISO 45001自体には含まれていない例を示すのであれば、ISO 45001を正しく理解できると思います。今後ISO 45001を改訂する機会があるとすれば、ISO 45001の言語の意味を正しく調整する必要があります。その時までは、私たちはユーザーや認証機関を含む関係者との関わりを通じて、これらのフレーズの意味と、すべての労働者のニーズに確実に対処することの意味について広く考える必要性を人々に思い出させるために、この重要なメッセージを強化しようとする必要があると考えています。


ISO45001規格の普及についていかがでしょうか?当初予測された通り普及していますでしょうか?

この対談のために、ご質問の件に関するデータを調べていたのですが、データは実に興味深いものでした。ちょうど昨年の秋にISOマネジメントシステム規格の認証件数に関する最新の調査結果(2020年12月31日に取得したデータ)がISOから報告されています。数十のISOマネジメントシステム規格の中で、ISO 45001は、品質のISO9001、環境の14001に次いで3番目の認証数になっています。また、1位、2位、3位の間にはかなりの開きがあるため、この数字について少し説明させてください。ISO 9001は、全世界で約916,000の認証があり、約130万の事業所をカバーしていることが調査から判明しました。ISO 14001は34万8,000件、56万8,000サイトです。そして45001は19万件、25万1,000サイトですから、数を比較するとかなり減っています。

しかし、成長率に関しても興味深いもので、ISO 9001認証の年間成長率は4%、ISO 14001は12%となっています。ISO45001は年間490%の成長率ですが、もちろん、この数字には理由があります。前年は、OHSAS 18001からISO 45001への認証移行期間のごく初期であり、その時点では比較的ISO 45001の認証件数が少なかったのが理由です。しかし、興味深いことに、今私が引用したISO 45001の数字は、まだ移行期間中であり、その後の数カ月でさらなる成長が期待でき、来年の調査の数字にもそれが反映されるはずです。

しかし、認証機関から聞いた話では、OHSAS認証機関がほぼ完全にISO 45001に移行していることに加え、ISO規格ができたことで初めて労働安全衛生マネジメントシステムを認証する機関も相当数上がるということです。これは新型コロナウイルス感染症の影響だけではありません。ビジネスにおけるESG(環境、社会、ガバナンス)への関心が高まり、例えば投資家のコミュニティでは、ESGへの関心がますます高まっているのです。また、レジリエンスやサステナビリティ(持続可能性)に対する関心も高まっており、もちろん労働安全衛生の果たす役割は非常に大きいものがあります。最終的には、少なくともISO 14001認証と同数の組織が労働安全衛生の認証を取得することになると思いますが、そうなれば、認証の数は現在の2倍程度になると思われます。

しかし、規格策定者として、認証がすべてではないこと、認証の数だけがすべてではないことをはっきりさせておくことが重要です。私たちは、組織が規格を利用して労働安全衛生パフォーマンスを向上させることに関心があり、それが私たちの推進力でもあります。ある時点で認証を取得することを意味するのか、あるいは認証を取得しないことを選択するのかは別の問題ですが、私たちにとって、認証を追求せずに規格を活用している組織の数に関するデータを得ることがはるかに難しいということもあります。

しかし、国際的に関心が高まり続けている明確な兆候があることは確かです。例えば、ヨルダンでは最近、この規格が国家規格として採用され、アラビア語版が出版されました。また、オーストラリアやニュージーランドでも採用され、政府契約の入札要件や法律で言及されることが多くなっています。しかし、世界にはまだ多くの地域があり、特に後進国では、ISO 45001の認知度を高めるためにもっと多くのことをしなければなりません。2019年にアフリカのルワンダでの標準化委員会で確認できたように、これらの国の一部では素晴らしい取り組みが行われているのです。

最大の課題は、中小企業、いわゆるSME(Small and Medium Enterprise)セクターであると思います。中小企業群は世界経済を支配していますが、組織は労働安全衛生の専門家を雇うことがほとんどできないため、労働安全衛生の問題で苦労することが多く、またどのような支援が受けられるかを知ることにも苦労し、規格の存在もよく知らないことが多い傾向にあります。そのため、私たちのガイダンスは、こういった方々をターゲットとして策定しているのですが、利用されないケースが多いのが現状です。

また、規格はどのような規模の組織にも適用できると謳っていますが、実際には、より大規模な組織によりアクセスしやすく、より大規模な組織を反映するような言語で書かれていることが多いということも言えると思います。例えば、私たち委員会がISO 45001ハンドブック(正式名称:Practical Guide for Smaller Organisations)を発行したのは、そういった背景があったからです。また、標準化委員会のリーダーシップ・チームのうち、特に小規模組織のニーズとそれに対する取り組みに焦点を当てた2名のメンバーを擁しています。

同様に、私たちは委員会の中に後進国調整グループを結成し、後進国のニーズを確実に反映させ、これらの国々で規格の認知度と採用率を高めるためにサポートしています。その理由は、後進国全般と小規模な組織の両方において、規格への関与と利用を進展させることができれば、組織が労働安全衛生パフォーマンスの改善を推進する上で、大きな影響を与えることができると思うからです。


TC283の今後の予定は?

現在、3つのガイダンス規格を開発中です。1つ目のISO 45002は、ISO 45001の要求事項の実施を支援するための一般的なガイダンス規格です。以前のOHSAS 18001規格をご存知の方は、OHSAS 18002という実施ガイドがあったことをご存じと思いますが、ISO 45002とほぼ同様のものです。このISO 45002は、現在国際規格のドラフト段階にあり、2022年末に発行される予定です。この国際規格のドラフトに対して寄せられた数百のコメントに基づいて、いわゆるFDIS(最終国際規格案)を発行し、それを正式発行版の基礎として事前に投票を行うことが保証されていると思います。そのため、今年中に発行できると期待していますが、追加の修正も考慮し、発行は年末近くになるのではないかと思っています。

他の文書については、まだそれほど進んでいません。ISO 45004は、労働安全衛生パフォーマンス評価に関するガイダンス文書で、2024年に発行される予定なので、まだドラフトと呼ばれる初期の段階です。その後、国際規格のドラフトになり、最終的には発行される予定です。

3番目の規格はISO 45006で、職場における感染症の予防と管理に関するもので、こちらも2024年に発行される予定です。この規格は、ISO 45004よりも少し早く進んでいると思いますので、その後の反応やコメント次第では、2023年に発行する可能性もあります。


ISO45001の改訂の有無や時期について教えてください。


2021年末に実施した各国標準化団体の投票結果を受け取ったところですが、まさにこの質問に対して、ISO 45001の改訂作業を行うべきかどうかを尋ねました。個人的な観点から言えば、意外なことですが、大多数の国からは、当面は規格を変更しないようにと回答しています。というのも、私たちが相談したのは、改訂までに少なくとも3年はかかると言われており、その結果、規格の改訂版が発行されるのは2025年以降になると思われるからです(つまり、最初の発行から7年後になる)。そこで私は、この作業を開始することに賛成してくれる人がいるかもしれないと思ったのですが、そうではなく、もう少し間を置くようにという回答が大多数でした。

もちろん、各国標準化団体の意向を尊重し、規格は変更せず、専門用語でいうところの「コンファームド(confirmed)」を行う予定です。しかし、我々はまた、実際に現在行っていることですが、規格の改訂の可能性を検討するための予備作業を行うワーキンググループの結成を投票により決定し、来年以降、その作業を実施する予定になっています。この部会ができることは、各国の標準化団体からのフィードバックを調査することです。その中には、改訂は時宜を得たものであると回答した団体もあり、変更が必要な分野を示唆しているとも言えます。

また、毎年行っているISO 45001のユーザーからのフィードバックにも注目しています。回答者は、規格のどの部分がうまく機能していると感じるか、どの部分が理解しにくいか、また要求事項が厳しすぎないかという質問を常に投げかけています。また、ソーシャルメディアを活用してユーザーと交流し、変更が必要な部分についてユーザーの意見を聞くことも考えています。

もちろん、ISOマネジメントシステム規格全体に共通する附属書SLの調和された構造とテキストの最新版を反映するために、規格をどのように調整する必要があるかを検討し、先に説明した包摂性に関するISOの研究に対応するために言語をどのように調整するかも検討することができます。これはすべて、将来のある時点で、国家規格機関に対して、改訂を開始する時期かどうかを再度尋ね、我々が提案する、あるいは検討する種類の変更を説明するためのドラフトを提示できるようにするための良い準備作業となると思っています。

この作業には、労働安全衛生とその管理に影響を与える新たなテーマや問題を調査しているタスクグループのアイデアも盛り込むことができます。タスクグループでは、気候変動、新技術、職場の人口動態の変化、そして先ほど触れた職場の境界の曖昧さといった問題から生じる労働安全衛生への影響に確実に対応できるよう、我々の基準を調整すべきか、どの程度調整すべきかについて検討しています。

そのため、現実的には、ISO 45001の改訂の可能性について、各国の国家規格機関に再度問い合わせるのは、18カ月から24カ月後になると思います。そのため、仮にドラフト版を作成したことで、その後のISO 45001改訂版の開発がもう少し早くできたとしても、ISO 45001の改訂版の発行時期は、最も早くて2026年になると思われます。

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