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【SDGs セミナーレポート】ISO×特許技術×SDGs ~新たな事業創出につなげるSDGsへの取り組み~

2019年11月28日、東京 ベルサール三田にて、「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みをテーマとするセミナーを開催致しました。本セミナーでは、SDGsの概要と発行までの経緯、SDGs目標達成のための課題、特許技術やISOマネジメントシステムとの関連性、SDGsへの取り組みが組織に与えるメリット等についてご理解いただくとともに、組織のSDGs目標達成に役立つLRのサービスについてお伝えしました。

 

新たな事業創出の機会ともなるSDGsへの取り組み

「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」は、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された国際目標です。地球上の「誰一人取り残さない」持続可能な世界の実現のため、2030年を年限とする17の目標・169のターゲット・232の指標から構成されています。

前身の「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」は発展途上国向けの開発目標でしたが、SDGsは先進国が取り組む普遍的な目標とされ、日本でも政府内に「持続可能な開発目標推進本部」を設置して「SDGsアクションプラン2019」を発表するなど、SDGs達成に向けた取り組みをより一層具体化する方策について議論が進められています。

ビジネスの場においてもSDGs達成への貢献について言及する声が出始めていますが、自社の事業活動との関連性を見出しにくく、多くの企業が社内への具体的な取り組みの進展や社外へのコミュニケーションに頭を悩ませているのが現状です。

本セミナーでは、内閣府 知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員を務める杉光教授にSDGs関連技術浸透の優先課題となる特許情報の「見える化」についてご講演いただくとともに、弊社寺田審査員からISOマネジメントシステムを活用したSDGsへの取り組みのメリットをご案内し、SDGs達成・貢献への取り組みを新たな事業創出の機会にもつながる有意義なものにしていただくことをゴールとして開催いたしました。

 

第1部「特許出願によるSDGs目標達成の見える化について ~特許情報の可能性」

講演者:  杉光一成 教授
講演内容:SDGsと企業の「経営」/SDGsと「事業」/SDGsと規制

社会に対し企業が取り組むサスティナブルな活動であるCSR (Corporate Social Responsibility)は、多くの経営者にとっては、直接的に「売上」には結びつかないものの社会から望まれているから行う、「must」ではない「経営」上の課題とされていました。

しかし、普遍的なSDGs目標の設定により、環境(Environment)や社会(Social)への配慮、企業統治(Governance)が優れた企業を投資対象とする「ESG投資」が急増し、2016年の投資額は約2,500兆円、全世界の投資額の約3割に達しています。SDGsへの貢献性を評価する「ESG金融」も提唱され、SDGsへの取り組みは新たな投融資機会を創出するものへと進化しています。

透明性の高いESG投融資を実現するためにも、企業のSDGs達成・貢献への取り組みを、客観的かつ定量的に「見える化」していく必要に迫られていまます。私は、「課題」とその「解決手段」としての技術的アイデアである特許情報を、SDGsの各目標と関連づけること(例えば,対応関係を表示)を提唱しています。

特許情報にSDGsマークを表示し、貢献度を「見える化」する

現状の延長では2030年までのSDGs目標達成は「不可能」であり、技術イノベーションを始めとするあらゆる意味でのイノベーションが不可欠と言われています。企業における技術イノベーションは,ほぼ例外なく特許出願がなされています。特に,SDGsに決定的に貢献しうるような技術イノベーション(例えば,飢餓の克服に貢献する,保存食品技術イノベーションや,きれいな水の確保に資する浄水技術イノベーション等)をどの企業が有しているかは,特許情報を見れば定量的かつ客観的に明らかであり,同時に,特許権があるからこそ企業も巨額の投資が可能となり,結果として単なる技術情報に留まらず,社会実装が行われることになります。その意味において,「公益」のSDGsと「私益」の知的財産権は相反する関係にあるように見えますが、むしろ社会実装という公益の実現にとって必要なのです。

SDGs関連技術の「見える化」は、企業にESG投融資の機会を提供するばかりか、自社が本来の事業活動を通じて“持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う”企業であることをアピールでき、社会や利害関係者とのエンゲージメント(対話・信頼関係)を強めることができます。

SDGsの体系は、世界に初めて誕生した統一の「価値観」(信念)と考えます。2020年以降は、日本でもSDGs達成に向けた様々な規制が加速することが予想されます。SDGsへの取り組みは、企業に新たな事業創出の機会さえ提供し、「売上」に直する「must」の「経営」課題となります。

“三方(売り手・買い手の満足と社会への貢献)よし”を信条としてきた日本企業にとって、SDGsは馴染みの深い価値観です。どうかSDGsへの取り組みを過去最大のビジネスチャンスと捉え、皆さまの企業だからこそ実現できる社会的課題の解決に取り組んでください。

 

第2部「マネジメントシステムを活用したSDGsへの取り組みのメリット」

講演者: 寺田和正 審査員
講演内容: SDGsの持つ意味合い/SDGsへの取り組みのガイドライン/SDGs取り組みのポイント/マネジメントシステムとの関連

SDGsは、前身となる「ミレニアム開発目標(MDGs)」の成果と2012年の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の提起内容を受けて、2015年に採択されました。最初のマネジメントシステム規格であるISO14001も、国連の「環境と開発に関するリオ宣言」を受けて発行されていますから、SDGsとISOマネジメントシステムは理念や起源を同軸のものとしています。

2030年までのSDGs達成に向けて、国内外の様々な機関から企業向けのガイドラインが発行されていますが、強調されているポイントは「優先課題(マテリアリティ)を決定し、事業(ビジネス)として取り組む」、「パートナーシップ(連携)の強化」、「意欲的な目標設定/イノベーション」、「コミュニケーション(達成度の公表)」など、ISOマネジメントシステムの要求事項と共通する概念が多く見受けられます。

GRI(Global Reporting Initiative),国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が共同で作成したガイドライン『SDG Compass』では、SDGs達成のための目標設定を世界的・社会的なニーズから考える「アウトサイド・イン・アプローチ」を提唱しています。このアプローチも、ISOマネジメントシステムの共通構造「Annex L」が意図する、 “内部および外部の課題に応じて目標を設定し、利害関係者のニーズ及び期待に応えていく”PDCAサイクルと、共通するものでしょう。

 

 

SDGsは、“地球上の誰一人として取り残さない”社会を実現することを基本理念としています。製品・サービスを通して社会に価値を提供する企業は、現在から将来にわたって想定される「リスク及び機会」について様々な利害関係者とよく話し合い、特定された「リスク及び機会」の変化や対応の結果を利害関係者と共有していくことが求められます。

ISOマネジメントシステムを活用してSDGsに取り組むことの意義は、利害関係者とのコミュニケーションを通じて、未来志向のリスクマネジメントの考え方を組織に定着させ、2030年に組織が創出可能な事業価値を見出していくことにあると、私は考えます。

真に戦略的なマネジメントシステムの運用は、イノベーションを生み出す環境を創出し、意欲的な目標への取り組みを支援します。皆さまのマテリアリティ(事業上の優先事項)に基づくSDGs目標の特定が、世界的・社会的な要請に応える事業価値を創出する機会となれば、これ以上の喜びはありません。

 

SDGsへの取り組みに確信を与えるLRQAのサポート

SDGsへの取り組みで成果を導くためには、組織の外部にSDGs関連情報を公開(見える化)する「コミュニケーション」と、取り組むべき社会的課題を共有する「パートナーシップ(連携)の強化」が必要です。

LRQAは、組織の目標達成に課題解決的視野から取り組むビジネス アシュアランスの審査手法を確立し、SDGs達成・貢献への取り組みに活用いただけるサービスを提供しています。皆さまのビジネスパートナーとしてお役立ていただければ、幸いです。

 

講師 プロフィール : 

 

杉光 一成 教授
[ 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 ]

東京大学大学院・修士(法学)、東北大学大学院・博士(工学)。電機メーカーの知的財産部等を経て、金沢工業大学大学院に至る。専門は知的財産に関する先端領域及び学際領域。これまでの公職歴として参議院・経済産業委員会調査室・客員研究員、総務省「メタバース著作権委員会」委員、内閣府・知的財産戦略本部・検証評価企画委員、東京大学未来ビジョン研究センター・客員研究員(現任)等の他多数。2009年に経済産業省「知財功労賞」受賞。



寺田 和正
[LRQA 品質・環境・情報セキュリティ審査員 ]

早稲田大学理工学部卒。企業向け情報システムなどのビジネスアプリケーションの開発に携わった後、1998年より、ISO 14001、ISO 9001を始めとしたマネジメントシステムの導入および運用支援業務を経験。2007年6月よりLRQAにて審査員、研修講師を務め、IRCA認定 ISO 14001 審査員コース、ISO 45001審査員コースなど講師も担当。著書に、「見るみるISO14001」、「見るみるISO9001」、「見るみるJIS Q 15001」、(共に日本規格協会、共著)等。ISO 14001 CEAR登録主任審査員、ISO 14001, ISO 45001 IRCA承認審査員研修講師。

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