オムニバス規則の動向
CSDDD:デューディリジェンスは依然として戦略的な必須事項
想定される主要な改訂点とその影響
- 対象企業: 従業員数と売上高の閾値が引き上げられる見込み(従業員5,000人、売上高15億ユーロ。欧州委員会の当初提案は従業員1,000人、売上高4億5,000万ユーロ)。非EU企業は、EU域内売上高が4億5,000万ユーロを超える場合に対象となります。
- 民事責任制度: 新たなEUレベルの民事責任制度は導入されない見込みですが、加盟国の判断に委ねられるため、EU域内で異なる民事責任制度が併存するリスクがあります。
- 不利益影響の評価: 重大性と発生可能性に基づいて優先順位を付けることが認められる見込みです(すべての影響に同時対応は困難なため)。評価自体は4~5年ごと、または必要に応じて随時(実際の不利益影響、新市場参入、M&Aなど)実施します。
- 契約解除: 契約解除は義務付けられない見込みで、条件付きでの契約停止が可能です。
- ペナルティ: 最大で売上高の5%に連動する見込みです。
- バリューチェーンの範囲: 三者協議の立場は、完全なリスクベースのアプローチから、一次サプライヤーに限定する案まで幅がありますが、合理的な根拠となる情報がある場合には、より深いサプライチェーンの精査が求められる可能性があります。
- サプライヤーおよび利害関係者との関与: 合理的に入手可能な情報を考慮したうえで、よりターゲットを絞った対応が認められる見込みであり、リスクベースの関与戦略が可能になります。一方で、事業パートナーへの情報要求については、バリューチェーンの範囲を従業員数(1,000人対5,000人)に基づいて設定するかどうかについて、立場の相違があります。
変わらない点
- HREDDの中核要件: リスク分析、防止、軽減、救済、苦情処理メカニズムは引き続き義務付けられています。
- ビジネス上の圧力: 正式な適用範囲外の企業であっても、顧客や取引先からデューディリジェンスを求められる可能性があります。
LRQAの主要な推奨事項
- CSDDDを戦略的なリスクマネジメントツールとして位置づける: HREDDをガバナンスや業務に組み込み、レジリエンスを高めることが重要です。
- バリューチェーンを可視化する: 一次サプライヤーを超えた重大なリスクに焦点を当てることが求められます。これらを軽視すると、ビジネス上のリスクにつながります。
- リスクベースのアプローチを導入する: リスクに優先順位を付け、段階的に対応を進めることが現実的です。すべてのリスクに同時に対応することは不可能です。
CSRD:報告は簡素化されるが、期待は依然として高い
想定される主要な改訂点とその影響
- 対象範囲の縮小: 従業員1,000人超、売上高4億5,000万ユーロ超の企業が対象となる見込みです。非EU企業は、EU域内に大規模な子会社や支店を持つ場合に対象となります。金融持株会社や上場中小企業は免除される可能性があります。
- 気候移行計画: EU気候法およびパリ協定との「整合性」または「貢献」に関する開示義務は維持されますが、実施義務は削除される見込みです。
- セクター別基準: 策定は行われませんが、任意のセクター別ガイダンスが公表される可能性があります。
- 中小企業データ制限: データ要求はVSME(非常に小規模企業)の範囲に基づき制限される見込みです。中小企業は、VSMEの範囲を超えるデータ要求を拒否できる可能性があります。
- 保証: 限定的保証は維持され、合理的保証は求められない見込みです。
- ESRSの簡素化: EFRAGにより、簡素化された基準が12月に公表される予定です。
変わらない点
- 報告の中核要件: 企業は引き続き、サステナビリティ関連のテーマについて限定的保証付きで報告する必要があります。
- 投資家や取引先の期待: 主要な利害関係者は、自社の報告目的でCSRDに準拠したデータを引き続き求めると考えられます。
LRQAの主要な推奨事項
- CSRDを戦略的に活用する: 社内のサステナビリティ連携を強化し、責任ある企業としてのポジションを確立することが重要です。
- 気候移行計画を策定する: SBTiやIFRSなどの基準でも期待されています。顧客がスコープ3排出量削減のために自社データを必要とする可能性があります。
- CSRDへの整合を先取りするy: 適用範囲外であっても、利害関係者からCSRD準拠データを求められるケースがあります。
最後に