責任ある事業運営に対する期待が高まる中、企業には複雑なサプライチェーン全体で発生する苦情を把握し、その対応を進めることが求められています。労働環境や労働者の権利、環境や地域社会に関する懸念など、さまざまな課題に対応するうえで、苦情処理メカニズムはリスクを見つけ出し、適切な改善につなげるための重要な仕組みです。
しかし、サプライチェーンが地域をまたいで広がり、求められる基準が変化する中、多くの企業が同じ課題に直面しています。苦情に関する情報が分散して整理されていないことが多く、全体像を把握したり、広い範囲で分析したりすることが難しい状況にあります。比較しやすい形で情報を確認できなければ、傾向の把握や対応の優先順位付け、そして有効なデューデリジェンスを示すことも難しくなります。
こうした課題に対応するため、LRQAは苦情処理メカニズムを強化し、新たに策定した共通の運用方針と、その内容を一か所で確認できるデータダッシュボードを導入しました。
苦情処理メカニズムの全体的な運用方針
これまで、苦情処理メカニズムは国ごとに整備されることが多く、法制度・文化・事業環境の違いに応じた区分方法が採用されてきました。この地域ごとの対応は引き続き重要ですが、その一方で、地域によって苦情の整理方法や把握の仕方、報告内容にばらつきが生じやすいという課題もあります。
LRQAはこの課題に対応するため、すべての相談窓口と苦情受付の仕組みに共通して適用できる統一した運用方針を整えました。この共通方針により、地域に関わらず同じ考え方で苦情内容を整理できるようになりつつ、各地域の状況や知見も反映できるようになっています。
更新された運用方針では、対象とする課題の範囲も広げています。労働に関する苦情に加えて、環境や地域社会に関する内容も取り扱えるようになり、サプライチェーン全体にわたるリスクをより幅広く把握できるようになりました。
整理されたデータを、有益な見え方へ
苦情データを揃えるだけでは十分とは言えません。活用するためには、情報が分かりやすく確認でき、透明性があり、読み解きやすい形であることが欠かせません。
この考え方に基づき、LRQAは苦情処理メカニズム データダッシュボードを導入しました。
統一された運用方針に沿って構築されており、お客様がサプライチェーン全体の苦情情報をほぼリアルタイムで把握できます。EIQ Analyse にログインすると、工場や仕入先単位から、国別・地域別の状況まで、さまざまな階層で情報を確認できます。
あらかじめ決められた形式の報告書だけを見るのではなく、ユーザー自身がデータを選び取りながら確認できる点が特徴です。必要な条件で絞り込む機能を使うことで、苦情の種類ごとの状況を詳しく見たり、時間の経過による変化を追ったり、潜在的または広範囲に広がるリスクの兆候をつかんだりできます。
より適切な判断と対応につなげるために
複数の場所に分散していた苦情情報を一つにまとめて確認できるようにすることで、このダッシュボードは、その場しのぎの事案対応から一歩進んだ、リスクに向き合うためのより計画的な取り組みを後押しします。
お客様は、この仕組みから得られる情報を基に次のような活用が可能になります。
- リスクが高い地域や仕入先、苦情の種類を把握する
- 時間の経過とともにリスクがどのように変化しているかを確認する
- 裏付けとなる情報に基づき、改善に向けた対応の優先順位を整理する
- 社内での説明や情報共有を強化し、透明性の向上につなげる
LRQAが持つ苦情処理メカニズムに関する知見と、現地での対応を担うパートナーの協力を組み合わせることで、このダッシュボードは、集めたデータを具体的な行動につなげるための支援ツールとして機能します。労働者や地域社会から寄せられる課題に、より適切かつ迅速に対応できるようになります。
サプライチェーン全体の透明性向上に向けて
今回の運用方針とデータダッシュボードの導入は、責任ある調達や人権デューデリジェンスを広い範囲で支えていくという、LRQAの継続的な取り組みを示すものです。
地域ごとの状況に基づく知見を活かしつつ、内容の整理方法を統一し、情報を見やすく示す仕組みを組み合わせることで、お客様は苦情処理メカニズムに伴うリスクをより明確に把握できるようになります。また、サプライチェーン全体で、より適切で迅速な対応につなげるための判断材料を得ることができます。
LRQAが提供するサプライチェーン向けの苦情処理メカニズムについて、詳しくはこちらをご覧ください。
